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その1 まずはデモ演奏を聞いてみましょう!
(下の画像をクリックでYouTubeへ移動します。)
その2 曲のKeyとコード進行について
この曲はKey:Cmですが、よりシンプルにするためにKey:E♭で解説します。
※使っている音は全く同じです。
コード進行の解説です。
ディグリー(度数)での表記を行っています。ディグリーなどのコード理論についてはこちら。
これに慣れると、コード進行の理解が深まり、様々なKeyや曲に対応できるようになります。
(FTJS!スタンダードナンバー集より。その1の17番目に載っています。)
【曲演奏攻略】
●リズムサイドのポイント
この曲は「ボサノバグルーヴ」で
プレイされるマイナー調のボサノバスタンダードです。
原曲はゆったりとスロー~ミドルでプレイされていますが、
わりと高速のボサノバアレンジで セッションされることもあります。
また、コーラス最後の「マイナーII-V」の部分で 「キメ」があります。 (※上の譜面参照)
この「キメ」はよっぽどバンド全体が盛り上がって
リズムアプローチが複雑にならない限り
リズム隊は毎回常に入れるのがお約束です。
でも、ロックやファンクの「キメ」のように
きっちり、かっちり大きな音量でキメることはありません。
そこはかとなくテーマやソロの裏でキメます。
ここで急にバンド全体の「ダイナミクス」が上がったりすると
雰囲気を壊すことが多いので、 是非音量に注意して下さい。
また、「Bサビ」で転調し、
メジャーの「IIーV-I」になるので、 だいぶ雰囲気がかわります。
もちろんソリストとの駆け引き次第ですが、
基本的にはここで 「リズムパターンを展開」して、
アンサンブルに差をつけると 曲の雰囲気に合いますし、
ロストする確率も格段に減るでしょう!
のいずれかで差をつけても良いし、
これらのパターンを組み合わせた 「2小節パターン」でも構いません。
また、ギター、ピアノ、ドラム、パーカッション
といったリズム隊メンバーは、
それぞれ「違うリズムパターン」を選択した方が
ボサノバの場合はアンサンブルに厚みが出ます。
その辺りの会話も楽しみつつ、
是非「Aメロ」と「Bサビ」で 展開をつけてみて下さい。
さらに、「ハーモニーでの会話」も ボサノバの醍醐味。
特に「裏コード」で 「II-V-I」の時など どちらでくるのかな?
とソリストとベーシスト、 コード楽器が探り合うようになると
より深い楽器の会話が楽しめます!
なお、細かい点ですが、
ベーシストは 「m♭5」が出てきますので
「1度、5度」の基本ラインを
「5度の部分だけ半音♭させる」 必要が出てきます。
よく注意してみて下さい。
また、コード楽器は パッと「m♭5」が押えられない場合は、
「短3度上のマイナーコード」つまり、
この曲の場合は 「Fm」を押えても まったく同じ構成音になります。
m♭5に苦手意識のある人は、 是非裏技的攻略法として覚えておいてください。
●ソリストサイドのポイント
まずソロなどの音使いは以下のようになります。
| ディグリー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 実音Key:E♭ | ミ♭ | ファ | ソ | ラ♭ | シ♭ | ド | レ |
| B♭管(F) | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ |
| E♭管(C) | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ |
転調の4小節は下の音使いです。
| ディグリー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 実音Key:D♭ | レ♭ | ミ♭ | ファ | ソ♭ | ラ♭ | シ♭ | ド |
| B♭管(E♭) | ミ♭ | ファ | ソ | ラ♭ | シ♭ | ド | レ |
| E♭管(B♭) | シ♭ | ド | レ | ミ♭ | ファ | ソ | ラ |
リード楽器もやはり「ボサノバグルーヴ」を意識し
大きく「ヨコノリ」感じることが基本になります!
その上で、ソロはボサノバの基本である
「2分音符崩し」でフレージングするとはじめは感じを掴みやすいと思います。
基本「2ビート」でゆったりしているため、 逆に音符を詰め込んでしまって
雰囲気を壊してしまうリードプレイヤーが沢山います。
大きく「レイドバック」するくらいのイメージで
まずはゆったり「ヨコノリ」を 単音のフレーズでも出せるようになることが大事です。
さらに!
この曲の鬼門とも言える Bサビの「転調」!
ここが攻略できれば、 8割方クリアしたと言っても 過言ではありません。
具体的にはメインキーである「Cm(E♭)」 から「一音転調」して「D♭」に 転調しています。
また、コード進行も
キーD♭の「II-V-I」になっていますので
「バップフレーズ」を入れてもいいし、 「簡単オルタード」で攻めてもOKです。
いずれにせよ、 コード感をくっきり表現できると、
「Aメロ」がマイナーなだけに
メジャーの明るい転調感がとてもはっきり打ち出せます!
その差がとても曲にあっていて
かつカッコいいサウンドに聞こえますので 是非試してみて下さい。
また、「裏コードでの駆け引き」も
ソリストとリズム隊とのボサノバ的会話の醍醐味。
ここまでできればかなりハイレベルですが、
是非参考にして、近い将来 深いアドリブでの会話を楽しんでみて下さい。
その3 具体的な構成の解説
この曲は1コーラスが16小節と短いので、
前後テーマとも、2回とるのが基本マナーです。
また、テーマ中、ソロ中問わず、 常に「キメ」をバックは入れ続けるのがお約束です。
マイナーの切ないボサノバなので、 そのイメージを活かしつつ
音量以外で自由にストーリー展開を作って行くと ボサノバらしいセッションになるでしょう!
また、「キメ」のある曲なので、
ソリストは合わせても良いし、 無視して盛り上げてもOK!
という、キメの基本マナーは他の キメ系の曲と同じです。
逆に、バックのメンバーは 絶対キメを忘れないように注意しましょう。
このキメが入ることで ロストする確率もグンと下がります。
ソロの平均的な長さとしては 1コーラスが16小節と短いので
最低2コーラス以上とるのが普通でしょう。
全体としては
1コーラス目
【Aメロ】「 」
【Bメロ展開】「 」
【盛り上げのキメ】「 」
2コーラス目
【Aメロ】「 」
【Bメロ展開】「 」
【盛り下げのキメ】「 」
こんな風に3つのセクションで 1コーラスを考えると整理しやすいかもしれません。
マイナーボサノバの入門曲であり
数々のカバーがされてきた セッションのスタンダード中のスタンダードです!
是非ボサノバのグルーヴを 思う存分楽しんで下さい!
動画を撮影できる環境がある人は動画配信サイトなどにアップして頂ければ、
見させて頂いてアドバイスいたします。
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