親愛なる、お母さんへ
お元気ですか?
今は離れて暮らしておりますが、
こんな奔放な息子をのびのび育ててくれた事への感謝は忘れません。
僕は今FTJS!という「ジャムセッションを日本の文化に」を
最大目標に掲げている音楽教室で働かせてもらっています。
楽器弾けないお母さんにとって
ジャムセッションてナンなのか?ってことですよね。
簡単に言うと楽器を使ってそこで飛び出した
リズムやメロディ、ハーモニーを使って遊ぶ「音で行う会話」です。
そのジャムセッションを楽しむ上で
お母さんの背中を見て勉強させてもらっていたんだな〜
ということを実感した事があり、これを書いています。
お母さんはいつでも手料理を作ってくれましたね。
冷蔵庫にある余り物を寄せ集めて
昨日とは違うまた新しい献立を作る。
バブルが崩壊し、夫婦共働きが激化しても、
欠かさず作ってくれましたね。
一人暮らしで自炊をしているとその凄さがよくわかります。
さて、それとジャムセッションがどう関係してくるのかというと
冷蔵庫にある食材で作る料理は
「レシピ通りに完成されたものを再現する」というよりも
「その場にある食材を組み合わせてその場限りの料理を生み出す」
そんなものだと僕は感じていました。
人参、豚肉、タマネギ、白滝…
ジャガイモがあれば肉じゃがができるけど…ない。
→カボチャがあったからそれを代用して入れる
「肉じゃがみたいなもの」が出来上がり。
昨日のカレーが余っているけど、
人数分は足りない…
→水分を足して味を整えて、
うどんを入れたら
「カレーうどん」へ早変わり。
そうやってその場にあるものだけを使って
次々と家族が飽きないように形を変えて出してくれましたね。
大変な事もあったと思いますが、
お母さんはむしろ
「次はどんなモノ作ったら喜んでもらえるかな」と
楽しんで作っていたのではないでしょうか?
ジャムセッションも非常に良く似た性質があります。
「譜面通りに完成されたものを再現するモノ」
というよりは
「その場にいるメンバーでその場限りの音楽を生み出す遊び」だからです。
この点が【冷蔵庫にある食材で作る料理】と同じだと僕は感じます。
ファンクが好きなドラマーがいて、
ロックが好きなギタリストがいて、
ジャズが好きなピアニストがいる…
→せっかくだからファンクのリズムの上に
ジャズ的な複雑コード進行をのせてみる。
でもギターソロは「キュイーン」と渋い音でシンプルに歌う。
ジャンルを越えたその時の音楽が生まれました。
ベーシストが印象的な繰り返しメロディ(リフ)を作ったら、
サックスプレイヤーもリフを作った、
→せっかくだから同時に演奏してみたら、
更にかっこいいリフになった。
そうやって、その場にいるメンバーの
趣味嗜好、得意なもの、アイデア
それらを混ぜ合わせて生まれる音楽。
そうやって楽しむ事が出来たら、
いつでも、どこでも、誰とでも
ジャムセッションを楽しく行えるような
そんな秘訣をお母さんから教えてもらったように思います。
本当にありがとうございます。
PS.
一回だけ仕事先の知り合いにピアノを習う事になり、
40過ぎてから初めて発表会を体験しましたね。
紙に書いた鍵盤の絵を使って必至に練習していたことよく覚えています。
「本番で緊張して演奏止まってしまって、もう2度とやりたくない」
と言っていましたが、
僕はいつか家族みんなでジャムセッションを楽しみたいです。
それが
万年反抗期だった僕ができる
最大の親孝行なのではないかって思います。
勇一より